8月4日の夕刊各紙で既報のとおり、東京地方裁判所が実刑判決をした3名の被告人に対する業務上横領事件について、東京高等裁判所は、同日、被告人全員について、地裁判決を破棄し、無罪の判決を下しました。
宮本弁護士はこの事件の被告人3名の弁護人(うち1名の主任弁護人)として活躍しました。
高裁判決は、①地裁が争点になっていなかった点を取り上げ、被告人らに攻撃防御の機会を与えず、不意打ち的認定で有罪を導いた点、②通常行われるべき証拠調べがなされていない上、その証拠評価について、当事者に十分な主張立証を尽くさせておらず、そのため誤った証拠評価をしている点について、地裁判決には訴訟手続の法令違反があるとしました。そして、地裁判決が有罪の根拠とした送金に同意がないとの業務委託元の社長の供述は、客観的証拠に矛盾しており、信用できないのは明らかで、被告人らの送金手続は権限に基づく有効なものであるとして、地裁判決を破棄し、業務上横領罪は成立しないとしました。高裁判決は、弁護人の主張をほぼ全面的に受け入れたものであり、被告人側の全面勝訴でした。
川上拓一元早稲田大学法科大学院教授が、6月15日付けで弁護士登録をし、当事務所で客員弁護士として執務することとなりました。
川上弁護士は、当事務所代表の田中及び客員弁護士の青栁と司法修習が同期であり、また、同大学院で客員教授として教鞭を取っている田中とはオムニバス形式の授業を共に行った間柄です。
当事務所としましては、刑事法の分野において、川上弁護士が裁判官及び法科大学院教授として培われた見識と経験を活かし、弁護士としても大いに活躍されることはもとより、当事務所弁護士の指導にもあたっていただけることを期待しております。
新しい連絡先は以下のとおりです。
03-6421-8708(TEL・FAX共通)
当事務所と誤認するような名称の法律事務所の弁護士を騙った振込め詐欺事件が起きています。当事務所の弁護士に限らず、一般に、弁護士が見ず知らずの個人の方にいきなり電話をかけて金銭の支払いを求めることはありません。まして、携帯電話でそのような要求をすることはありません。そのような電話での要求には一切取り合う必要はありません。必要に応じて警察に通告、ご相談ください。
2013年6月から関東財務局において任期付き公務員として業務を行ってきた柳勝久君は、本年1月31日をもって関東財務局での任期を終えましたが、実家のある関西に戻り、大阪を拠点に弁護士業務を行うこととなりました。当事務所としましても、柳君が東京を離れるのは残念ではありますが、関西方面での案件に関して協力を期待できる信頼に足る弁護士がまた一人増えたことを心強く感じております。
土屋眞一弁護士は、一昨年末、常習累犯窃盗(過去10年内に窃盗の実刑前科が3犯ある者が常習として窃盗をした場合に、刑の下限が3年になります)で有罪となった被告人が控訴した事件について国選弁護を担当しましたが、東京高裁は常習性の存在を否定し、東京地裁の判決を破棄して、単純窃盗の事実で、刑期を大幅に短縮した判決を言渡しました(判例時報2191号144頁)。この判決は、これまであまり深い議論がされてこなかった常習性の問題について大きな一石を投じた意義ある判決と考えられます。
また、昨年土屋弁護士が担当した覚せい剤取締法違反(覚せい剤の所持)の国選弁護事件では、違法収集証拠(覚せい剤)の排除が争点となりましたが、東京高裁は、違法収集証拠の排除を認めなかった東京地裁判決を破棄し、所持の事実について無罪を言い渡しました(判例時報2201号141頁)。違法収集証拠を排除するとの判決例自体珍しく、大きな意義のある判決と考えられます。
青栁馨元東京高等裁判所部総括裁判官が、3月1日付けで弁護士登録をし、本日から当事務所で客員弁護士として執務することとなりました。青栁弁護士は、本年4月1日には日本大学法科大学院教授に就任することとなっています。
青栁弁護士と当事務所代表の田中とは司法修習が同期で、ともに京都で実務修習をした間柄です。
当事務所としましては、民事、商事、行政訴訟を含む広範な分野において、青栁弁護士が地裁及び高裁裁判官、最高裁調査官、国税不服審判所審判官等として培われた豊かな見識と経験を生かし、弁護士としても大いに活躍されることはもとより、当事務所弁護士の指導にも当たっていただけることを期待しております。
柳勝久弁護士は、平成20年12月より当事務所で執務してまいりましたが、このたび、関東財務局において2年間の任期付職員として勤務することとなりました。当事務所在職中に培った金融関係の知識を活かし、今後は、金融行政に携わる者として、日々職務に全力で取り組み、金融法実務の研鑽に励んでもらいたいと考えております。
宮本英治弁護士が、本年1月1日付けで当事務所パートナーに昇格しました。
2011年2月16日、「法律コラム」の連載を始めました。
このコラムでは、新たに制定された法令や改正された法令、その他の時事的な法律に関係する事柄や問題のうち、当事務所の弁護士が関心を持ったものを随時取り上げ、各弁護士が執筆した解説を順次掲載します。新聞等の一般的な媒体が提供する情報よりも詳しく、法律雑誌の記述よりも簡易で分かりやすいかたちで情報を提供して行くこととしており、そのことにより、法律情報の流布に寄与することを目指しています。
なお、このコラムの解説は、情報提供を目的とするもので、助言を目的とするものではありません。当事務所及び執筆担当弁護士は、できるだけ正確な記載を心がけていますが、その正確性や具体的な事件・事象についての妥当性を保証するものではありません。また、このコラムに記載された内容の著作権は当事務所及び執筆担当弁護士に帰属しており、無断転載はお断りします。